アプリケーション開発内製化のご相談をいただく際、企業が初手として最も着手しやすいのが社内ツール開発です。
あまり工数をかけず、「どういったものが作れるか」をPoCとして社内検討するためにノーコードツールを利用するケースも多く見受けられます。
今回は、そういったときに使いやすい社内ツール向けのノーコードツールを紹介していきます。
社内で利用するアプリケーションは、UIの緻密さを求められないことも多く、必要条件を満たしていることを最優先にしているケースが多くなっています。
そういったケースでは要件定義と画面設計で細かく工数を刻んで開発に時間をかけるより、手早く動くものが必要になってきます。
そういった点を踏まえて、以下のようなノーコードツールを導入するメリットがあります。
使わなければもったいない、と言えるほどにアップデートされた企業向けノーコードツールは、まさに現代の神器といっても過言ではありません。
それでは具体的な社内向けノーコードツールを見ていきましょう。
利用するチームや企業の規模に応じて導入しやすさに差異はありますが、多くのサービスが必要十分な機能を兼ね備えています。
また、導入コストも小さく抑えられるサービスも増えてきたので、お試しで検証してみるという使い方も可能です。
現場作業のDXに特化したノーコードツールであるPlatio(プラティオ)は、多くの業務用ツールを展開するアステリア社開発のサービスです。
料金も月額¥20,000〜と利用しやすく、様々な現場で使えるテンプレートが多数用意されています。
ネイティブアプリとして配布できたり、バーコードやセンサーデータなども取り入れることができるため、あらゆるシーンでの利用が簡易化されています。
主に現場作業のある業態の事業者には最適な選択肢です。
バックオフィス業務をあらゆる面からサポートしてくれるノーコードツールがkintone(キントーン)です。国内の業務補助サービスの中でも群を抜いた知名度なので知っている人も多いことでしょう。
部署別利用から全社利用まで、包括的な利用ができるため、専門部署でも経営陣でも利用するメリットが大きいサービスです。
料金が1ユーザーごと、更新も1ヶ月単位、さらに月額¥780から使えるという導入しやすさも大きな魅力です。
データの見える化と共有、コミュニケーション、そして外部サービス連携と、多角的な業務改善に役立ちます。
主に顧客管理、イントラネット構築に役立つのがStacker(スタッカー)です。
Salesforceやデータベース、HubSpotなどとも連携が簡単で、多くの社内リソースを統合できます。
ただし、英語で利用するサービスのため、グローバルチームを抱える企業向けと言えるでしょう。
月々$59(年払いの場合)と、最小のStarterプランは導入しやすい料金になっていますが、業務でガッツリ使うとなると月額$149(年払いの場合)のPlusプランを選ぶ必要があります。
いくつかのデータベースを使い分けていると、データ参照の際に聞き回るシチュエーションがあります。
そういったデータベースの分離を統合してくれるのがJet Admin(ジェットアドミン)です。
こちらも英語で利用することとなりますが、ユニークな特徴としてPostgreSQL、MySQL、Firebase、GraphQL、スプレッドシートといったデータベース系に強い作りとなっています。
SalesforceやHubSpotなども連携対象とできるため、社内に強固なデータベース基盤を持っている場合には選択肢として挙げて良いでしょう。使い心地を試せる無料のFreeプランも用意されています。
とにかく画面が綺麗で見やすいという特徴を持つncScale(エヌシースケール)の紹介です。
バージョン管理(履歴管理)や監視モニタリングなどの機能も豊富なので、誰が何を行ってどのような結果になったかという行動履歴において安心感があります。
他のツールと違い、ZapierやMakeといった自動化ツールや別のノーコードツールとの連携がベースとなっているため、主にノーコードツールを強化するツールだと考えたほうが良いです。
2023年11月現在、無料で利用できるので試しに触ってみて損はないでしょう。
Google社が開発するAppSheetは、Google Workspaceユーザーの企業であれば選択肢に入れるべきです。
Workspaceとの統合が容易なのはもちろん、最近リリースされたGoogle製AIのDuet AIも搭載されています。
主にスプレッドシートで多くのデータを管理している場合には、非常に有効なサービスです。また、1ユーザーごとに月額$5という料金体系も手を出しやすいと言えるでしょう。
Microsoft Azureやその他マイクロソフト社製品を利用している企業におすすめできるのがPower Appsです。
こちらもマイクロソフト社謹製のAIであるCopilot AIを利用でき、多くの構築済みテンプレートが用意されていることが魅力です。
Office 365に含まれている範囲でも利用できますが、月額¥2,500の有償版Power Apps Premiumを使うとさらに強力な使い方ができます。マイクロソフト環境であれば選択肢として有効です。
いずれのサービスも、自社の業務フローの改善に役立つ機能が多数実装されているため、使い方次第で無限の可能性を秘めています。
ただし、ノーコードツール自体に学習コストを割いてしまうと本末転倒になってしまうので、最初は手を出しやすそうなサービスを選び、いくつか試してからしっかり使うツールを決めるという形が良いでしょう。
社内ツールで業務改善が進むと、従業員のストレス軽減につながるだけでなく、労働にかかるコストの総合的な圧縮に役立ちます。ぜひまだ導入していない企業は小さなところから社内ツール開発を進めてみることを強くおすすめします。