ノーコードツールを利用していると、どうしても悩みどころになるのがデータの保存方法です。
各種ノーコードツールは、それぞれのデータ保持方法やデータベースとの連携方法を持っていますが、場合によっては「データだけ保存したい」というケースもあります。
そんなときに役立つのがノーコードデータベースです。
今回は難しいSQLなどが扱えなくても手軽に利用できるノーコードデータベースについて紹介します。
通常、データベースを作成・運用するときはデータベースクライアントやSQL(データベースを操作するプログラミング言語)といったツールを利用します。
データベースに慣れているエンジニアであれば、これらを扱うことにも抵抗はありませんが、非エンジニア職の人間からすると敷居が高いものです。
ノーコードデータベースはそういった複雑さを取り払い、誰でもデータベースを扱えるよう民主化するためのツールです。
Excelで管理しているデータをより扱いやすく、他のアプリケーションと連携しやすくするイメージです。
イメージさえ掴めてしまえば、特に複雑なこともないので代表的なノーコードデータベースツールを紹介していきます。
いくつかのノーコードデータベースは無料で使えるプランが用意されているため、使い心地を確かめるのにお金を払う必要がありません。BtoB向けのノーコードデータベースでは無料トライアルが用意されています。
もし「これは使えそうだ」となったときに上位プランを検討してみてください。
ノーコードデータベースの話題になると必ず持ち上がるのがAirtable(エアテーブル)です。
操作画面が美しく、表示形式の切替が簡単なだけでなく、関数も使えるほどに高機能です。
また、バックアップやバージョン管理(履歴管理)といったデータ保持部分でも優れているため、安全性においても信頼が置けます。一つのデータベース(Airtableではbaseと呼ぶ)あたりのデータ件数が膨大にならない、日本語対応は必要ない、といったケースであればAirtableは最適な選択肢です。
JUST.DB(ジャストデービー)は日本企業であるジャストシステム社が開発するクラウド型ノーコードデータベースです。
完全日本語は当然のことながら、RPAツールなしでデータパイプライン(データ連携フロー)を組めるなど、かなり高機能に作られています。
特にありがたい点が、見積もりなどの帳票出力機能が標準搭載されており、データから書類を作成する手間が大きく省力化できるところです。セキュリティ面で見ても、監査ログがあったりISMS取得ソフトウェアだったりと、データ保全に厳しい企業でも安心な体制を整えています。
ただし、こちらは企業向けとなるため、個人の方だと用途的にオーバースペックになりがちなことをご留意ください。
ノーコードデータベースの中では非常にユニークなExcel方眼紙形式でデータベース構築するForguncyの紹介です。
AccessやKintone、Salesforceなどとも連携ができ、データリソースを堅牢に構築したい企業にマッチします。
方眼紙ベースということもあり、製造業や建設業の方が親しみやすいUIを兼ね備えており、実際に導入事例でも取り上げられています。
細かな部品ごとに規格が定まっている製品情報データベースの構築などに最適です。
SMOOZ(スムーズ)は、アイディーエス社が手掛けるデータベースクライアントサービスです。
ノーコードデータベースツールというよりは、従来のデータベースクライアントをよりユーザーフレンドリーにしたツールだと言えます。
現在はMySQLとPostgreSQLに対応しており、すでに自社で先述のデータベースを保有していて、非エンジニアでも扱えるようにしたい、というユースケースでマッチします。
ユーザー権限機能や入出力ルール機能など、「あったら便利」な機能が多数搭載されています。
iOS、Androidアプリもあり、ExcelやWordといったMicrosoft社製品との統合も容易なノーコードデータベースのRagic。
全文検索やレポート生成機能といった機能性もありつつ、シンプルなUIになっています。
また、承認プロセスもワンクリックで可能になっており、多層構造の承認フローがあっても安心です。
グローバルチームを抱える企業であればマッチするでしょう。
多くのデジタルマーケティングSaaSを展開するクラウドサーカス社が展開するPlusDBは、エンドユーザー向けにデータを整備したいという用途に向いています。
製品カタログやFAQページといった、自社サイトに設置する前提でデータ構築が可能です。
特筆すべき点は、Google検索のリッチリザルトと呼ばれる検索結果の拡張表示や、Googleしごと検索に対応しているところです。
用途を絞っているからこそ、利用シーンにマッチしていたら強力なツールとして利用できるでしょう。
最後に、無料で利用できるNotionやGoogleスプレッドシートをノーコードデータベースの目線で捉え、比較対象としていきます。
これらのツールはすでによく知られているので、ノーコードデータベースとして見たときのメリットとデメリットを記載します。
メリット
デメリット
上記をご覧いただけるとわかるように、エンタープライズレベルのERPとして使ったり、エンドユーザー向けのプロダクション環境で利用したりすることはおすすめできません。
簡単な社内ツール程度の用途であれば問題ありませんが、基本的にはノーコードデータベースとは全くの別物だと考えてください。
昨今の開発プロジェクトでは、データサイエンティストやプロダクトマネージャーがデータ管理に参加するケースも見受けられます。
インフラ知識があり、IaaSなどのクラウド系サービスでゴリゴリ運用されるケースもありますが、多くの企業が積極的に新しいデータ運用ソリューションを探し求められています。
たとえエンジニア不在でもデータ活用を最大化できることは、企業規模の大小を問わずにこれからさらに重要なスキルになってくることでしょう。ぜひエンジニア以外の職務であっても、ノーコードデータベースを利用してデータ管理に触れ合ってみてください。