ノーコードツールという言葉が流行り始めていくばくかの時間が経過しました。
迅速かつ効率的なソフトウェア開発への需要がかつてないほど高まっている今、ノーコードツールはアプリケーション開発に革命をもたらしつつあります。
コードを1行も書かずにアプリ開発する、という夢のような状況が日々生み出されています。ChatGPTやCursorのようなコード生成も革命的でしたが、今一度、現在のノーコードツール事情を比較してみましょう。
念の為、おさらいしておきます。
ノーコード開発やノーコードツールと呼ばれるものは、プログラミングをせずにWebアプリケーションやスマートフォンアプリケーションを開発する技術のことを指します。
似た言葉でローコードがありますが、以下のような違いがあります。
これまで、多くのノーコードツールが誕生してきましたが、主要なツールを比較してみます。多くの場合、海外で開発されたツールが主流となりますが、日本語対応していないケースも多いため、日本語対応しているサービスも比較対象にします。
サービス名 | 特徴 | 料金 |
---|---|---|
Adalo | シンプルで学習コストが低い。 他アプリと連携も容易。 | $65(プロフェッショナル) |
Flutterflow | 学習コストは高い。 Flutterベースでコードエクスポート可能。 | $70(Pro) |
Draftbit | Web制作経験者には理解が早い。 React Nativeベースでコードエクスポート可能。 | $79(PRO) |
Click | 日本語対応でとても簡単。 データベース周りの自由度が低い。 | ¥4,980(Earlier) |
Yappli | 日本語対応でエンタープライズ向け。 サポート抜群だがあくまで企業向け。 | 要見積もり |
Adalo(アダロ)はその学習コストの低さで、今までアプリ開発をしたことがないビギナーでも使いやすいノーコードツールです。
独自のデータベースシステムを持っているため、他のデータベースとの連携を考えなくても簡単に利用できます。
また、ビジュアル面も美しく、シンプルな操作で見た目の良いアプリ開発を進められます。ただし、デメリットとしては簡単な分、自由度が低くなっているため、PoC開発やMVP開発を越えた用途だと厳しい印象です。
逆に言えば、とにかく先にアプリを開発して世に出したい、動くものを作りたい、という目的であればマッチします。
Flutterflow(フラッターフロー)は、Adaloとは違い、なかなか習得が難しいサービスとなっています。また、日本語情報が少ないため、開発を進めるためには多少の英語力が必要です。
その代わり、Flutterflowは高機能で自由度が高く、多くのユーザーを受け入れ、多くの機能を搭載したアプリケーション開発に適しています。
ただ、データベースの選択肢が実質的にFirebaseを選ぶことがほとんどのため、別の選択肢が必要な場合はソースコードをエクスポートしてつなぎこみを行う必要があります。(一部データベースは頑張ればつなげられます)
最初はFlutterflowで開発し、後々手の込んだ開発が必要になったらコードエクスポートした上で開発したい、という場合には最適です。
Draftbit(ドラフトビット)は高機能でシンプルというAdaloとFlutterflowの良いところ取りのようなサービスです。
Web制作者にとって馴染みの深い技術をベースにしているため、Flutterflowのように独自の技術を基盤にしたツールと比べて学習コストが低く済みます。
また、データベース連携の幅も広いため、弱点らしい弱点は見当たりません。ただし、やはりFlutterflowのネイティブアプリ開発における高機能さにおいては一歩リードを許しているため、複雑なアプリケーション開発をしないのであれば最適といえます。
Click(クリック)は、日本企業であるNoCode Japan社が開発しているノーコードツールのため、完全に日本語対応しています。
また、とにかくシンプルでわかりやすい操作画面のため、ほとんど迷うことなくアプリ開発が可能です。
しかし、UI開発は限定的になりがちなことと、データベースの制約を考慮するとスケールを目指すアプリ開発には厳しい選択肢です。PoC開発としての利用や、膨大なユーザーを抱えることを前提としないアプリ開発では有効です。
Yappli(ヤブリ)もまた、日本企業ヤプリ社が開発する完全日本語対応のノーコードツールです。対象はエンタープライズ向けなので、個人で利用するタイプのサービスではありません。
導入実績も中小企業から自治体まで幅広く、多くの活用事例、サポートが付帯しているため、自社でアプリ開発を始めたいという企業にマッチします。連携サービスのYappli CRM(顧客管理)やYappli Data Hub(データ分析)もあるため、Yappliプラットフォーム上でほとんどの課題を解決可能です。
少し前まで、Webアプリケーションであろうとスマートフォンアプリケーションであろうと、プログラミングスキルを持ったエンジニアがいなければ難しいものでした。
ノーコードツールの登場によってその状況が変わり、今では非エンジニアだけのチームであってもリリースすることが簡単になりました。
世間ではAIが台頭したことで、より発展した未来が広がっていますが、ノーコードツールの進化も著しいため、併用することで多くの目的がエンジニアなしでも達成できるでしょう。
もちろん自身がエンジニアである、またはエンジニアを抱えている企業の場合はより迅速に、より生産性の高い実務の助けにもなります。
まだノーコードツールを触ったことがないという方も、現在のスキルに合わせて今回紹介したツールを触ってみることをおすすめします。